「阿波のツタンカーメンを探せ」
石室や玄室といえばエジプトのピラミッドを連想するが、考えようによっては同じ類のものである。大きな違いは、それを造るのにかけた労力と中に埋葬されていたであろう副葬品の価値だけれど。 『段の塚穴』は吉野川中流域の古墳群のひとつにある二つの石室であり、それぞれに『太鼓塚』、『棚塚』と名づけられている。今から1400年前のこの地方の権力者の墓であると思われるが、もちろん「クフ王」や「カフラー王」等のファラオという大そうなものではなく、今のところ不明のままに横穴式石室として国の指定史跡となっている。 ピラミッドほどではないが、かなり精緻な石積みで形成されており、かなりの手間と技術をかけているところをみると、当時としては高価な副葬品も安置されていたのではないかと思われる。 棺も副葬品も発見されていないということは、はるか昔に既に盗掘された後と解釈しても良いと考えられるが、古墳の巣とよばれるこの地方には、いまだ発見されていない古墳と石室がどこかに眠っているかもわからない。高松塚古墳(近くの農家がショウガの貯蔵のための穴掘りで発見)のような美術的に価値の在る壁画が農作業や道路工事中に出てくる可能性がないとはいえないのである。
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「今では美馬市の名所のひとつにもなっている。」
今では美馬市の名所のひとつにもなっている。
「太鼓塚の石室入り口、大人がかがんで入れる大きさ」
太鼓塚の石室入り口、大人がかがんで入れる大きさ
「太鼓塚の玄室 奥は広くて綺麗に石積みされている。」
太鼓塚の玄室 奥は広くて綺麗に石積みされている。
「棚塚の入り口 鍾乳洞のような趣である」
棚塚の入り口 鍾乳洞のような趣である
「棚塚玄室 やや狭いが堅牢である。」
棚塚玄室 やや狭いが堅牢である。
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