「白鷺の白い色は仇の白」
八幡浜宮内川の平家落人伝説地は、おそらく四国で一番にぎやかな平家落人ゆかりの地である。夏なお涼しい森林の一角は、今では名物そうめん流しの夏の風物詩的レジャースポットとして広く県内外から観光客を集めている。その一角には観光スポットとして平家神社が建っている。 人手賑わう平家神社の一方で、裏山の平家谷自然林は女人禁制の不入の森(いらずのやま)として、古くから枇杷谷部落の聖地であったゾーンであり、今でもうっそうとした自然林が守られている。 下関壇ノ浦から逃れてきた平家のうち平有盛系の一族8人(とともに安徳天皇もおられたと言う一説もある)が、佐田岬半島の伊方越に流れ着き、この地に住み着いたとされる。武家を捨てて農民に身をやつした彼らは、毎日、えぼし岩に見張りを立てながら山の麓の開墾をすすめていたという。数年が過ぎたある日、見張りをしていた仲間が、海岸近くに白鷺が飛んでいるのを、追っ手の源氏の白旗と誤認し一族に知らせた。急ぎ集まった8人は平家の血統を絶やさぬために2名を残してその場で潔く全員自刃して果てたという。 残った2名は仲間の遺骸を平家谷の不入の森に埋葬し、部落名「両家」の開祖としてこの地に住み着いたということである。平家末裔の証に赤旗、短刀、鏃、神鈴、金の茶釜などを有していたらしい。 また、この地では仲間の命を奪った源氏の白色を忌んで、今でも衣類に白は使わず、正月にも白餅はつかずに赤飯(平家の旗印は赤)を茶漬けにして食べるというという風習を続けていたということである。時は移り、その地で白いそうめんを楽しんでいる人々の姿を見ると、なんとなく隔世の感がするのである。
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「夏は名物「そうめん流し」で多くの人が集まる観光地である。」
夏は名物「そうめん流し」で多くの人が集まる観光地である。
「観光地としての平家落人伝説地の表示。」
観光地としての平家落人伝説地の表示。
「パワースポットとして賑わう平家神社。」
パワースポットとして賑わう平家神社。
「裏山の平家谷自然林は先祖の祖霊を祀る不入の森として畏れられ、伐採も禁じられてきたという。」
裏山の平家谷自然林は先祖の祖霊を祀る不入の森として畏れられ、伐採も禁じられてきたという。
「不入の森に祀られた祠」
不入の森に祀られた祠
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