「純友の足跡のない島」
ご存知、平安時代の承平天慶の乱で、瀬戸内海の海賊を率いて中央権力朝廷に地方から反旗を翻したのが藤原純友その人である(第44番札所参照)。果たして純友の最期がどのようであつたのかは諸説紛々であるが、その純友が稼いだ黄金を九十九個の大壺に入れて瀬戸内海のある島に隠したという言い伝えが備讃瀬戸に残っている。一説には鬼が島伝説で有名な高松市女木島(第82番札所参照)であり、一説には、ここ櫃石島であるといわれる。 櫃石島は古くは塩飽水軍の根城のうち最北端の島であり、今は漁業で成り立つ小島である。最近になって瀬戸大橋の橋脚のひとつとなり本州四国と地続きとなったが、一般の車両は島に降りることはかなわない。島へはJR坂出駅から定期バスで与島まで、そこから別便に乗り換えて入ることとなる。 その名の通り、島にはいろいろな巨石が残っている。中でも有名なのは島の南端にある櫃岩(ひついわ)と呼ばれる、島名の由来となった石で、これには平家落人が財宝を隠したという言い伝えが残る。南端より歩いて渡れる小島があり、その意の通り「歩渡島(ぶとじま)」と呼ばれている。ここは聖域らしく注連柱(しめばしら)があり、その先は巨石を祀る祠となっている。周囲5.4kmの小島なので散策しても多くの時間はかからないが、今のところ場所の特定ができるような言い伝えは残っていない。 櫃石島の近くには、松島、釜島等の藤原純友の足跡を今も残す島々が点在している。その中で純友の名残を持たない櫃石島が埋蔵金伝説の舞台となっていることが、逆に埋蔵金ハンターの信憑性をくすぐるのであろうか。
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「瀬戸大橋が結ぶ最も北寄りの島であり目の前は岡山県鷲羽山である。」
瀬戸大橋が結ぶ最も北寄りの島であり目の前は岡山県鷲羽山である。
「歩渡島(ぶとじま)に点在する巨石信仰の祠」
歩渡島(ぶとじま)に点在する巨石信仰の祠
「島の名の由来となった櫃岩。瀬戸大橋の真下である。」
島の名の由来となった櫃岩。瀬戸大橋の真下である。
「櫃石島より1.5km沖合いの釜島。現在は無人島であるがね藤原純友の城跡が残っている。」
櫃石島より1.5km沖合いの釜島。現在は無人島であるがね藤原純友の城跡が残っている。
「櫃石島の目の前の松島。岡山県最小の有人島である。島は昔、水軍要塞が築かれ、東部には純友を祀る神社が残っている。」
櫃石島の目の前の松島。岡山県最小の有人島である。島は昔、水軍要塞が築かれ、東部には純友を祀る神社が残っている。
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