「日本のレアアースの救世主か?」 愛媛県北部の高縄半島は半島とはいいながら四国の北東にこぶのように出た地域である。東の西条市側にそびえる東三方ヶ森(1233m)と西の松山市側の高縄山(たかなわさん986m)を中心とする高縄山地が面積の大半を占めている。 この高縄山は平安時代からこの半島を治める豪族河野氏の本拠地であるとともに修験道の聖地でもあった。山頂付近には河野氏の菩提寺である高縄寺が境内を広げており、山頂展望台からの眺望は雄大の一言に尽きる。 2001年のこと、この山で、芸予地震で崩れた遊歩道の花崗岩から、東大物性研究所と愛媛大の研究チームがレアアース(希土類)とレアメタル(希少金属)でできた見慣れない鉱物を発見した。この石は後日、国際鉱物学連合から新鉱物と認定され「高縄石」(学名・タカナワアイト)と命名された。 この新鉱物はレアアースのイットリウム(原子番号39 元素記号はY 赤色蛍光体や触媒に使われる)とレアメタルのタンタル(原子番号73 元素記号は Ta コンデンサ等に使われる)、ニオブ(原子番号41 元素記号は Nb 鉄鋼添加剤、光触媒、超伝導磁石に使われる)の酸化物からなる、数ミリから1センチの褐色の板状または放射状の結晶である。 日本の花崗岩は含有率が低いためレアアースは採掘されていないが、高濃度で大規模な鉱床が見つかれば国産資源化できる可能性があるという。鉱物好きの諸君、高縄山を散策するときは、景色よりも足元を見よう(笑)。
|
「松山沖から見る高縄山。」
松山沖から見る高縄山。
「電波等が山頂の目印。」
電波等が山頂の目印。
「山頂からは忽那諸島が一望できる。」
山頂からは忽那諸島が一望できる。
「松山市内も展望できる。」
松山市内も展望できる。
「河野氏の菩提寺である高縄寺。」
河野氏の菩提寺である高縄寺。
|