「天叢雲の剣はここで造られた」
徳島市から吉野川に沿って内陸部に30キロのこの土地に、日本でただひとつの『天村雲神社』が鎮座する。そしてここは3種の神器のひとつ『天叢雲の剣』の鋳造場所ではないかという説がある。 『天叢雲(あまのむらくも)の剣』とは、ご存知のように出雲の地で須佐之男命(すさのおのみこと)が八岐大蛇(やまたのおろち)を酒に酔わせて退治したときにその尻尾から出てきた剣で、大蛇の頭上にはいつも群雲がかかっていたことからついた名前である。剣はその後、須佐之男命の姉である天照大神に奉納され、後に3種の神器のひとつとして、大和武尊(やまとたけるのみこと)の東征の際に用いられ、彼が火攻めにあったときに周辺の草を薙ぎ払って窮地を脱したことから『草薙の剣』とも呼ばれるようになった。 その剣がこの神社とが関係している根拠は、ここが日本でただひとつの「あまのむらくも神社」であるということと、この神社の前身は阿波忌部(あわいんべ 大和朝廷を支えた帰化人の一族とされる)の神社であり阿波における銅や鉄の精錬技術はこの忌部氏がもたらしたものに違いなく、よって神話ではなく現実の『天叢雲の剣』は、ここで鋳造されたのでないかという推論からなっている。 至ってシンプルな理由からではあるものの、説の真偽がどうあれこの神社が古代の歴史についての謎をはらんでいる可能性は高いものと思われる。 本物の『天叢雲の剣』は源平合戦のおりに安徳天皇とともに壇ノ浦に沈み行方不明となっていてどんなものかが不明だが、ひょっとしたら神社周辺に同タイプの剣が眠っているかもわからない。
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「吉野川沿いの田園地帯にぽつんと佇む杜。」
吉野川沿いの田園地帯にぽつんと佇む杜。
「社は至って質素である」
社は至って質素である
「この巨大な注連縄も謎」
この巨大な注連縄も謎
「社奥の本殿。」
社奥の本殿。
「祭神は、天村雲命と伊自波夜比賣。そもそも水と関係している神様でもある。」
祭神は、天村雲命と伊自波夜比賣。そもそも水と関係している神様でもある。
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