「人魚を食べて美魔女になろう」
八百比丘尼(やおびくに、はっぴゃくびくに)は、誤って人魚を食べてしまい、不死の身体となって800歳まで生きたという伝説の女性である。日本全国に様々なパターンで伝わる極めてメジャーな伝承である。 須崎市の多ノ郷に賀茂神社には八百比丘尼が寄贈したという石塔が建っている。縁起によると、この南東に大坊千軒という漁師の町(今の須崎の市街地だと思われる)があり、そこで網に人魚(いわゆるマーメイドではなく魚の頭部だけが人間)がかかり、たくさんの見物人が集まったが、その中の幼女が誤ってその血を口に入れてしまったところ不老不死の身体となり200歳を越えても若いままの美貌が変わらなかったというものである。年下の者が次々と亡くなっていくことに生の無常を悟り、その後は尼となって若狭の国(福井県)にとどまったという。ここまでは他の地方にも伝わる八百比丘尼の伝説と共通しているが、後に生地である土佐に帰り、この石塔を寄進したということである。 その人魚を串に刺して食べたという地が串の浦という地名にになったという。須崎駅の埠頭の対岸に串の浦という地区があるが、今ではその痕跡は残っていない。古来、人魚は天変地異の前触れとされる。この伝説が本当なら南海沖地震が懸念される今なら須崎で人魚が釣れるのではないかと話していたら、土地のおばさんから「わざわざ人魚を食べんでも、もとから美貌の熟女は須崎にいっぱいおる。」といわれた。絶対にうそである(笑)。
|
「土地の信仰厚き賀茂大明神の神殿」
土地の信仰厚き賀茂大明神の神殿
「境内に建つ「八百比丘尼の塔」」
境内に建つ「八百比丘尼の塔」
「現在の串の浦地区」
現在の串の浦地区
「今では民家もまばらな集落である。」
今では民家もまばらな集落である。
|