「阿波怪猫伝」
一攫千金88箇所はその名のごとく「一発当てること」も目的としているので(笑)、勝負事のご利益のある神様も札所としているのである。日本全国に散らばる「勝負事の神様」には「荒事」や「執念」に由来するものが多い。確かに困難を乗り越えて勝つには時には「強引さ」や「後に引かない心」が必要である。この『お松大権現』は、悲運な「お松様」の直訴とその復讐に燃える怪猫「三毛」の伝説に由来している。 世に「怪猫(かいびょう)=化け猫」の話といえば、佐賀の鍋島化け猫騒動、岡崎の猫騒動、江戸有馬家の化け猫騒動が有名であるが、ここに伝わる阿波怪猫伝もそれらに勝るとも劣らない話である。江戸時代も17世紀後半の天和・貞享年間、この加茂村は不作が続き、見かねた庄屋の惣兵衛は私財の田畑を担保に富豪の野上三左衛門より金を借りて村の窮状を救うが、借金完済後も三左衛門の悪辣な詐欺により田畑を没収されて病死してしまう。残された妻のお松は三左衛門を訊ねるが相手にされず、訴えでた悪奉行の越前にも逆に非道な裁きをうける。金と権力をかさにきた悪業にすべてを失ったお松は藩侯の行列に命を懸けて直訴するも捕らえられて処刑されてしまう。今際の際にお松は可愛がっていた愛猫の三毛に遺恨を伝えて絶命する。しかしてその後、三左衛門と奉行越前の屋敷に夜な夜な化け猫があらわれ怪異をなし、ほどなくして両家は断絶したという。正義の憤りに執念を貫いたこのお松様と三毛を崇めて建てられたのが、この大権現である。 この由来が、いつしか正義の戦いに勝つための崇拝の対象になったものと思われる。つまりこの権現様は、大儀の無い「邪な心」で勝負に臨む方々には、なんの助けもしてくれないので、そこのあなた、そのあたりはゆめゆめお間違えのないように(笑)。
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「大権現正面。最近造った招き猫が目を引くが「ナ●コなんじゃタウン」ではない(笑)。」
大権現正面。最近造った招き猫が目を引くが「ナ●コなんじゃタウン」ではない(笑)。
「本殿後ろのご神体。」
本殿後ろのご神体。
「受験からに何から、とにかく「必勝」の絵馬でいっぱい。」
受験からに何から、とにかく「必勝」の絵馬でいっぱい。
「脇のお堂は招き猫であふれている」
脇のお堂は招き猫であふれている
「至るところに猫のお地蔵様」
至るところに猫のお地蔵様
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